1on1の質問は、人事評価の「今どの時期か」で選びます。期初は目標のすり合わせ、中間は止まっている仕事の発見、期末前は評価の根拠集め、評価後は次の半年への切り替えです。この記事では、4つの時期に使う質問とどの時期でも使える質問を、合わせて40問載せています。
対象は、評価制度はあるのに1on1が業務報告で終わってしまう、従業員30〜150名の会社の管理職と人事担当者です。質問を全部使う必要はありません。1回の1on1で使うのは3問までです。
- 1on1の質問は、人事評価の4つの時期で使い分けます
- 期初の1on1で使う質問10問|目標設定を本人の言葉にする
- 中間の1on1で使う質問10問|止まっている仕事を見つける
- 評価前の1on1で使う質問10問|自己評価の根拠を集める
- 評価後の1on1で使う質問5問|納得度を確かめて次の目標へつなぐ
- どの時期でも使える質問5問|体調・仕事量・キャリアの変化をつかむ
- 部下が話さないときは、質問を3つの型で言い換えます
- よく起きる失敗:質問リストを上から読み上げる1on1
- 1on1が「意味のない時間」になっている5つのサイン|形骸化のチェック
- 30分の1on1は、質問を3問に絞って3つの段階で進めます
- 1on1を始める前に確かめるチェックリスト7項目
- ここから先は、評価制度の作りによって質問の選び方が変わります
- 1on1・人材育成のことならご相談ください
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1on1の質問は、人事評価の4つの時期で使い分けます
半年ごとに評価する会社なら、1on1は半年で12回前後になります。同じ質問を12回繰り返すと、2か月目には部下の答えが「特にありません」に変わります。時期ごとに、聞く目的を切り替えます。
| 時期 | 目安 | 1on1の目的 | この記事の質問 |
|---|---|---|---|
| 期初 | 評価期間の1か月目 | 目標を本人の言葉で決め直す | No.1〜10 |
| 中間 | 2〜5か月目 | 止まっている仕事を早く見つける | No.11〜20 |
| 評価前 | 期末の1か月前 | 評価の根拠になる事実を集める | No.21〜30 |
| 評価後 | 評価結果を伝えた直後 | 納得度を確かめ、次の目標につなぐ | No.31〜35 |
| いつでも | 毎回の最初の5分 | 体調・仕事量・キャリアの変化をつかむ | No.36〜40 |
福岡で評価制度の運用を支援していると、1on1が続かない会社には共通点があります。質問の上手下手ではなく、1on1と評価の時期がつながっていないことです。1on1で聞いた話が評価に使われないと、部下は話す意味を感じなくなります。
期初の1on1で使う質問10問|目標設定を本人の言葉にする
期初の1on1は、目標設定シートを書く前に行います。上司が目標を渡すのではなく、部下の口から目標を言ってもらうための質問です。
| No. | 質問 | 聞く狙い |
|---|---|---|
| 1 | この半年で「これができたら自分を褒められる」ことは何ですか | 本人が何を成果と感じるかを知る |
| 2 | 部署の目標のうち、あなたの仕事がいちばん効くのはどれですか | 組織の目標と個人の目標をつなぐ |
| 3 | その目標は、数字にするなら何で測れますか | 期末に評価できる形にする |
| 4 | 今の力で、何割くらいまで届きそうですか | 難易度を確かめる(7割程度が目安) |
| 5 | 去年と同じやり方だと、どこで詰まりそうですか | 障害を先に出しておく |
| 6 | この目標のために、やめる仕事はありますか | 仕事の量が増えるだけになるのを防ぐ |
| 7 | 私に手伝ってほしいことは何ですか | 上司の支援内容を決める |
| 8 | 3か月後に、どうなっていれば順調と言えますか | 中間の1on1で見る基準を決める |
| 9 | 期末の評価で、何を見せれば成果が伝わりそうですか | 評価の証拠を先に決める |
| 10 | 目標とは別に、この半年で伸ばしたい力は何ですか | 能力開発の目標を拾う |
No.9は、ほとんどの会社で抜けている質問です。期初に「何を証拠にするか」を決めておくと、期末の評価面談で上司と部下の言い分が食い違いにくくなります。
あわせて読みたい期初の1on1で決めた目標を、目標設定シートに書き写すときの職種別の例文
中間の1on1で使う質問10問|止まっている仕事を見つける
中間の1on1の目的は、進捗の報告を受けることではありません。止まっている仕事を、期末より前に見つけることです。
| No. | 質問 | 聞く狙い |
|---|---|---|
| 11 | 目標に対して、今どのあたりにいますか。10段階で言うといくつですか | 進み具合を本人の感覚で聞く |
| 12 | この1か月で、いちばん進んだことは何ですか | できたことから話し始める |
| 13 | 止まっていることを1つ挙げるなら何ですか | 問題を1つに絞って聞く |
| 14 | それは、自分の判断で動かせますか | 本人の権限で解決できるかを分ける |
| 15 | 私が動けば早く片づくことはありますか | 上司がやる仕事を引き取る |
| 16 | 期初の目標で、今の状況に合わなくなったものはありますか | 目標の修正を早めに決める |
| 17 | このペースで期末を迎えると、どうなりそうですか | 本人に着地点を予測してもらう |
| 18 | 残りの期間でやることを1つだけ選ぶなら何ですか | 優先順位をはっきりさせる |
| 19 | 最近、ほかのメンバーに助けてもらったことはありますか | チームへの貢献の事実を集める |
| 20 | 次の1on1までに、何が終わっていればいいですか | 次回までの約束を1つ決める |
No.16は、中間の1on1でしか聞けない質問です。取引先の変更や人の異動で前提が変わったまま期末を迎えると、達成できなかった理由が本人の責任になってしまいます。
評価前の1on1で使う質問10問|自己評価の根拠を集める
期末の1か月前に行う1on1です。ここで事実を集めておくと、評価面談は「点数の説明」ではなく「事実の確認」になります。
| No. | 質問 | 聞く狙い |
|---|---|---|
| 21 | この半年で、いちばん成果が出た仕事は何ですか | 本人が自信を持っている仕事を知る |
| 22 | それを数字や事実で言うと、どうなりますか | 評価の根拠に変える |
| 23 | 自己評価をつけるなら、いちばん高い項目はどれですか。理由も教えてください | 自己評価の根拠を先に聞く |
| 24 | 逆に、いちばん低くつけそうな項目はどれですか | 本人が自覚している課題を知る |
| 25 | 達成できなかった目標は、何が原因でしたか | 原因を本人の言葉で整理する |
| 26 | 私が知らない頑張りは、何かありますか | 上司の見落としを減らす |
| 27 | お客様や他部署から言われた言葉で、覚えているものはありますか | 第三者からの評価を拾う |
| 28 | この半年で、新しくできるようになったことは何ですか | 能力の伸びを確かめる |
| 29 | 評価面談の前に、私が見ておくべき資料はありますか | 根拠の資料をそろえる |
| 30 | 評価に納得できないことがあったら、どう伝えてほしいですか | 不満の伝え方を先に決めておく |
No.23とNo.24で自己評価の根拠を聞くと、上司の評価との差がどこにあるかが、面談の前に分かります。差が大きい部下には、評価面談の前にもう1回1on1を入れる方が安全です。
あわせて読みたい自己評価が上司の評価より高い部下と、評価面談の前にすり合わせる方法
評価後の1on1で使う質問5問|納得度を確かめて次の目標へつなぐ
評価結果を伝えた1〜2週間後に行います。評価面談の場では言えなかった本音は、少し時間を空けた方が出てきます。
| No. | 質問 | 聞く狙い |
|---|---|---|
| 31 | 今回の評価で、意外だった点はどこですか | 受け止め方を確かめる |
| 32 | 納得できない点があれば、具体的に教えてください | 不満を具体的な論点にする |
| 33 | 次の評価で1段階上げるには、何が足りないと思いますか | 次の目標の種を本人から出してもらう |
| 34 | そのために、次の半年で私にできることは何ですか | 上司の支援を約束する |
| 35 | 評価面談で言いそびれたことはありますか | 言い残しを拾う |
あわせて読みたい評価結果を伝えるときに使う、ランク別・職種別の評価コメントの例文
どの時期でも使える質問5問|体調・仕事量・キャリアの変化をつかむ
毎回の最初の5分で、次の中から1問だけ使います。答えが前回と大きく変わっていたら、その日の1on1は予定していた質問をやめて、その話を優先します。
| No. | 質問 | 聞く狙い |
|---|---|---|
| 36 | 最近、仕事でいちばん時間を取られていることは何ですか | 仕事の偏りをつかむ |
| 37 | この1週間で、仕事で気持ちが下がった場面はありましたか | 不調の兆しを早く知る |
| 38 | 今の仕事量を10段階で言うと、いくつですか | 負荷を数字で比べられるようにする |
| 39 | 3年後、社内でどんな仕事をしていたいですか | キャリアの希望を知る |
| 40 | 今の仕事で、続けたいことと手放したいことは何ですか | 配置や役割分担の材料にする |
部下が話さないときは、質問を3つの型で言い換えます
部下が話さない原因の多くは、質問が広すぎることです。「最近どう?」は、何を答えればよいかが決まっていません。範囲を狭めると、答えやすくなります。
| 言い換えの型 | 話しにくい質問 | 話しやすい質問 |
|---|---|---|
| 事実から聞く | 最近どう? | 先週、いちばん時間を使った仕事は何でしたか |
| 選択肢を出す | 何か困っていることはある? | AとBなら、今どちらが重いですか |
| 位置を聞く | なぜできなかったの? | どこまで進んで、どこで止まりましたか |
「なぜ」で始まる質問は、責められていると受け取られやすい聞き方です。原因を知りたいときほど、「どこで」「何が」で聞きます。
よく起きる失敗:質問リストを上から読み上げる1on1
よく起きるのは、質問リストを印刷して、上から順番に読み上げるケースです。たとえば従業員40名前後の会社で、管理職5名が30分の1on1で毎回10問以上を聞くと、1問あたりの時間は2〜3分しかありません。部下は短く答えるだけになり、3か月ほどで「面接のようだ」という声が出ます。その結果、月2回だった1on1が月1回に減り、やがて止まります。
質問リストは、あなたが1on1の前に3問を選ぶための材料です。1on1の場で読み上げるものではありません。
1on1が「意味のない時間」になっている5つのサイン|形骸化のチェック
質問を用意していても、1on1が形だけになっている職場はあります。次の5つのうち2つ以上当てはまるなら、質問の中身より先に、進め方を直す段階です。
| サイン | 起きていること | 直し方 |
|---|---|---|
| 毎回「最近どう?」から始まる | 部下が「特にないです」と答えて5分で終わる | その時期の質問を1つ決めてから始める(期初・中間・評価前・評価後) |
| 上司が7割以上話している | 指示や説教の時間になり、部下の本音が出ない | 部下が話す時間を半分以上にし、上司は言い換えの質問で返す |
| 次にやることが決まらない | 話して終わり、次の1on1で同じ話をくり返す | 最後の5分で「次の1on1までにやること」を1つ決めて記録する |
| 評価の話しかしない | 部下が評価を気にして、困りごとを言わなくなる | 評価面談とは日を分け、1on1では評価をつけない |
| 日程がよく流れる | 月1回の予定が2〜3か月空き、関係が途切れる | 30分で固定し、延期するときは同じ週の中で入れ直す |
いちばん多いのは2つ目です。あなたの職場の1on1を一度だけ録音して、上司と部下の話した時間を比べてみてください。上司が7割を超えていたら、質問リストを増やすより、上司が黙る練習のほうが先です。
30分の1on1は、質問を3問に絞って3つの段階で進めます
- 最初の5分:体調と仕事量を聞く。No.36〜40から1問だけ使います。
- 次の20分:その時期の質問を2問だけ使う。1問に10分かけるつもりで、答えに対して「それはいつですか」「誰が関わっていますか」と掘り下げます。
- 最後の5分:次回までの約束を1つ決めて記録する。部下がやることと、上司がやることを1つずつ書きます。
記録は、次の6項目だけで足ります。評価前の1on1で、この記録がそのまま評価の根拠になります。
| 記録する項目 | 記入例 |
|---|---|
| 日付と時期 | 10月8日/中間 |
| 使った質問 | No.13、No.15 |
| 本人の答え(事実だけ) | 見積もりの承認待ちで、A社の案件が2週間止まっている |
| 部下がやること | A社に代替案を2つ出す(10月15日まで) |
| 上司がやること | 承認ルートを部長に確認する(10月10日まで) |
| 次回の日程 | 10月22日 |
あわせて読みたい1on1の記録を評価につなげるために、評価制度の運用ルールから決める手順
1on1を始める前に確かめるチェックリスト7項目
- 今の時期(期初・中間・評価前・評価後)が分かっている
- 今日使う質問を3問までに絞っている
- 前回の約束(部下がやること・上司がやること)を確認した
- 「なぜ」で始まる質問を、「どこで」「何が」に言い換えた
- 1on1の時間を30分確保し、途中で席を立たない
- 記録用の6項目の表を手元に用意した
- 聞いた話を評価に使うことを、部下に伝えてある
ここから先は、評価制度の作りによって質問の選び方が変わります
40問は、半年ごとに目標を立てて評価する会社を前提にしています。評価が年1回の会社、目標を立てない職種がある会社、1on1を人事部が記録している会社では、使う質問と時期の区切り方が変わります。どの質問を評価のどの項目につなげるかは、あなたの会社の評価シートを見ながら決める部分です。
1on1・人材育成のことならご相談ください
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著者プロフィール
野村 幸太(のむら こうた)/株式会社クリアマネジメント 代表
株式会社あしたのチームで福岡支社の立ち上げに参加し、広島・福岡の支社長、西日本エリアマネージャーを歴任。8年間で200社を超える人事評価制度の構築・運用を支援しました。2022年に福岡でクリアマネジメントを設立し、従業員30〜150名の中小企業を中心に、評価制度・1on1の導入・管理職の育成を支援しています。
