賃金テーブル・号俸制の作り方|中小企業の給与表サンプルと5ステップ

賃金テーブル・号俸制の作り方を、G1〜G5の5等級と号俸の階段で表した記事のアイキャッチ画像 テンプレ・ノウハウ

中小企業の賃金テーブル(給与表)は、「等級ごとの基本給の幅」「1号俸あたりの昇給額(ピッチ)」「評価ランクごとに上がる号俸の数」の3つを決めれば、Excel1枚でつくれます。この記事は、従業員30〜150名の会社で、給与を社長の感覚で決めてきたけれど、そろそろルールにしたいと考えている経営者・人事担当者に向けて書いています。

完成形のサンプル、つくる5ステップ、今の社員を新しい表に移す方法、よくある失敗、つくる前のチェックリストの順に並べました。

賃金テーブルの完成形|5等級×号俸の給与表サンプル

先に完成形を見てください。従業員50名前後の会社を想定した、基本給(月給)の賃金テーブルです。

等級役割の目安1号俸(下限)1号俸あたりの昇給額号俸の数上限
G1指示を受けて担当業務をこなす190,000円1,500円20号218,500円
G2一人で担当業務を完結できる210,000円2,000円20号248,000円
G3後輩を指導し、班やチームをまとめる240,000円2,500円20号287,500円
G4課や部署の数字に責任を持つ(課長)290,000円3,500円15号339,000円
G5複数部署を見て、経営判断に関わる(部長)350,000円4,500円15号413,000円

号俸とは、同じ等級の中の給与の段のことです。1号俸上がるたびに、表の「1号俸あたりの昇給額」だけ基本給が上がります。たとえばG2の6号俸なら、210,000円+2,000円×5段=220,000円です。

この表は「地図」、評価で何号俸上がるかのルールは「地図の進み方」にあたります。地図だけあっても、進み方が決まっていなければ、毎年の昇給は結局社長の判断に戻ります。

賃金テーブルの作り方|中小企業が給与表をつくる5ステップ

ステップ1:等級の数と役割を決める

30〜150名の会社なら、等級は4〜6段階で足ります。等級が多すぎると、1つ上がるまでの差が小さくなり、昇格の意味が薄れます。各等級に「何ができる人か」を1〜2行で書いておくと、給与の差を社員に説明できるようになります。

あわせて読みたい等級ごとの役割を5等級の例文つきで書く方法

ステップ2:今の社員の給与を等級ごとに並べる

全社員を仮の等級に分け、今の基本給を等級ごとに並べます。散布図にすると、同じ等級なのに給与が5万円以上ばらついている、下の等級の人が上の等級の人より高い、といった逆転が見えてきます。この「今の姿」が、表をつくるときの出発点です。あなたの会社でも、まずは給与台帳から基本給だけを抜き出して並べるところから始めてください。

ステップ3:各等級の下限と上限を決める

下限は、採用で競り負けない額と、最低賃金を下回らない額の両方を満たすように決めます。福岡の最低賃金は2026年10月4日から時給1,114円です。月の所定労働時間が168時間なら、月給187,152円が下限の目安になります。サンプルのG1の下限190,000円は、この線を少し上回る設定です。

上限は、1つ上の等級の下限と少し重なる程度にします。重なりが大きすぎると、昇格しなくても給与が上がり続け、昇格を目指す理由がなくなります。

あわせて読みたい最低賃金の引き上げに合わせて賃金表の下限を引き直す手順

ステップ4:1号俸あたりの昇給額(ピッチ)を決める

ピッチは、上の等級ほど大きくします。サンプルではG1の1,500円からG5の4,500円まで広げています。上の等級ほど1回の評価で動く金額が大きくなり、責任の重さと給与の伸びがそろいます。営業職と技術職で給与の伸び方を変えたい場合は、職種ごとにピッチを分ける方法もあります。

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ステップ5:評価ランクと号俸の上がり方をつなぐ

評価ランク上がる号俸G2(ピッチ2,000円)の昇給額G4(ピッチ3,500円)の昇給額
S+4号俸8,000円14,000円
A+3号俸6,000円10,500円
B(標準)+2号俸4,000円7,000円
C+1号俸2,000円3,500円
D0号俸0円0円

標準のB評価で2号俸上がる形にしておくと、平均的な社員の昇給額が読めるようになります。G2の社員なら、標準評価で月給が4,000円上がります。会社全体の昇給原資は「人数×平均の昇給額」でおおよそ見積もれます。

今の社員を新しい賃金テーブルに移す|下がる人を出さない3つのルール

表ができても、今の給与をそのまま当てはめると、表の下限より低い人と、上限より高い人が出ます。移すときは次の3つを決めておきます。

ケース起きることよく使う扱い
今の給与が、等級の号俸の間にあるぴったりの号俸がないすぐ上の号俸に合わせ、差額は会社が負担する
今の給与が、等級の下限より低い表どおりにすると大きく上がる1〜2年かけて段階的に下限まで引き上げる
今の給与が、等級の上限より高い表どおりにすると下がる差額を「調整給」として当面支給し、昇格や数年での解消を本人と確認する

給与を下げる変更は、本人の同意や就業規則の変更手続きが必要になる場合があります。上限を超える人がいる場合は、移行の前に社会保険労務士にも確認しておくと安全です。

あなたの会社で上限を超える社員が何人いるかは、ステップ2の並べ替えの時点で分かります。3名を超えるなら、上限の設定か等級の振り分けを見直す合図です。

よく起きる失敗|号俸を細かく刻みすぎて、昇給が月1,000円しか出ない

等級制度と賃金テーブルを、これまで200社以上の会社と一緒につくってきました。その中で何度か見てきたのが、号俸の刻みが細かすぎる表です。

たとえば従業員40名の会社が、1号俸500円・各等級50号俸の表をつくったとします。標準評価で毎年2号俸上がるので、月給の昇給は年1,000円です。社員からは「頑張っても1,000円しか上がらない」と言われ、評価への関心が下がります。一方で、昇格しない社員も25年かけて上限まで上がり続けるため、人件費は確実に積み上がります。

ピッチは「標準評価で月給が3,000〜5,000円上がる」くらいを目安に決め、号俸の数は「その等級に10年いたら上限に届く」程度に抑えます。上限に届いた社員には、昇格を目指すか、賞与で報いるかの道を示します。

賃金テーブルをつくる前のチェックリスト7項目

表をつくり始める前に、あなたの会社の状況で次の7つを確認してください。

  • 等級は4〜6段階で、各等級の役割が1〜2行で書かれている
  • 全社員の今の基本給を、仮の等級ごとに並べた
  • G1の下限が、地域の最低賃金を月給に直した額を上回っている
  • 上の等級ほどピッチ(1号俸あたりの昇給額)が大きい
  • 標準評価で何号俸上がるかが決まっている
  • 上限を超える社員の扱い(調整給など)を決めた
  • 会社全体の昇給原資を、人数×平均昇給額で試算した

どこまで細かくつくるかは、会社の人数と職種で変わります

ここで紹介したサンプルは、1つの職種が中心の50名前後の会社を想定しています。職種が3つ以上ある会社や、パート・アルバイトの比率が高い会社では、職種ごとの表や時給の表を分けたほうが運用しやすくなります。どこまで分けるかは、今の給与のばらつき方と評価制度の作りによって判断が分かれます。

福岡を中心に九州の会社で、等級・評価・賃金を一体で設計するお手伝いをしています。「今の給与を並べてみたら逆転だらけだった」という段階からでもご相談ください。給与・賞与制度の設計サンプルもお渡ししています。人事評価制度・報酬制度づくりの進め方と費用をご覧いただくか、お問い合わせフォームからご連絡ください。


著者プロフィール

野村 幸太(のむら こうた)/株式会社クリアマネジメント 代表

株式会社あしたのチームで福岡支社の立ち上げに参加し、広島・福岡の支社長、西日本エリアマネージャーを歴任。8年間で200社を超える人事評価制度の構築・運用を支援しました。2022年に福岡でクリアマネジメントを設立し、従業員30〜150名の中小企業を中心に、人事評価制度・組織づくり・採用・AI活用を支援しています。

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本記事の内容は情報提供を目的としており、個別の法的・労務的アドバイスを行うものではありません。具体的な制度設計にあたっては、社会保険労務士や専門家にご相談ください。

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