中小企業のパルスサーベイは、毎月同じ5問を聞き、テーマを決めて1〜2問を足す形で十分です。ツールを入れなくても、Googleフォームで月1回・3分で答えられる調査が作れます。この記事では、固定の5問とテーマ別の15問、合わせて20問の設問例を載せています。
対象は、従業員30〜150名ほどの会社で、社員の不調や退職の兆しを早めにつかみたいあなたです。パルスサーベイとは、短い質問を高い頻度でくり返し聞いて、社員の状態の変化を見る調査のことです。
パルスサーベイは「月1回・5問・3分」で始めます
| 項目 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 頻度 | 月1回 | 週1回では回答が雑になり、四半期に1回では変化を見逃す |
| 設問の数 | 固定5問+テーマ別1〜2問 | 3分以内で答えられる量にする |
| 回答の形式 | 5段階+自由記述1問 | 数字で推移を見て、理由は自由記述で拾う |
| 道具 | Googleフォーム+スプレッドシート | 無料で始められ、集計も自動になる |
| 見る人 | 社長と人事担当(直属の上司以外) | 上司への不満も書けるようにする |
ストレスチェックとの違い|年1回の義務と、月1回の自主的な確認
| ストレスチェック | パルスサーベイ | |
|---|---|---|
| 目的 | 高ストレス者を見つけ、医師の面接につなぐ | 状態の変化を早くつかみ、職場の手当てにつなぐ |
| 頻度 | 年1回 | 月1回など、会社が決める |
| 義務 | 従業員50人以上の事業場で義務(50人未満の事業場も2028年4月から義務化) | 任意 |
| 結果の扱い | 本人の同意なく会社は個人の結果を見られない | 会社が見て、1on1や配置に生かす |
年1回のストレスチェックだけでは、春に不調を抱えた社員に、翌年まで気づけないことがあります。パルスサーベイは、ストレスチェックの代わりではなく、その間の11か月を埋めるものです。
毎月聞く固定の設問5問
毎月同じ質問を聞くから、変化が分かります。この5問は、途中で言い回しを変えないでください。
| No. | 設問 | 回答 | 見る理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 今月の仕事の量はどうでしたか | 1:とても少ない〜5:とても多い | 4以上が続く人は、負荷が偏っている |
| 2 | 今月、仕事でやりがいを感じた場面はありましたか | 1:まったくない〜5:とてもあった | 下がり始めると、退職の兆しになる |
| 3 | 困ったときに相談できる人が職場にいますか | 1:いない〜5:何人もいる | 2以下は、孤立している可能性がある |
| 4 | この1か月、体調はどうでしたか(睡眠・疲れ) | 1:とても悪い〜5:とても良い | 2以下は、すぐに声をかける |
| 5 | 今、会社や上司に伝えたいことがあれば書いてください | 自由記述(任意) | 数字に出ない理由を拾う |
テーマ別の設問例15問|毎月1〜2問を足します
固定の5問に加えて、月ごとにテーマを決めて1〜2問を足します。半年で、すべてのテーマを一巡できます。
| テーマ | 設問例 |
|---|---|
| 仕事の量と時間 | 残業は予定した時間に収まっていますか/仕事の優先順位は分かっていますか/休みたい日に休めていますか |
| 職場の人間関係 | チームの中で意見を言いやすいですか/ほかのメンバーから助けてもらえていますか/気になっている人間関係の問題はありますか(自由記述) |
| 上司との関係 | 上司は自分の仕事を見てくれていると感じますか/上司との面談は役に立っていますか/上司に相談しにくいことはありますか(自由記述) |
| 成長と評価 | この1か月で新しくできるようになったことはありますか/自分の評価の基準が分かっていますか/今の仕事を1年後も続けたいと思いますか |
| 会社への信頼 | 会社の方針は自分に伝わっていますか/会社は社員の声を聞いていると感じますか/友人にこの会社で働くことを勧められますか |
「自分の評価の基準が分かっていますか」で低い点が続く場合は、サーベイより先に、評価制度の伝え方を見直す必要があります。
Googleフォームで作る5つの手順
- フォームを作る:固定の5問を「均等目盛(1〜5)」で作り、5問目だけ「段落」にする。
- 記名か匿名かを決める:30名未満の会社は、匿名にしても回答から人が分かりやすい。記名にして、見る人を社長と人事担当に限ると決めて伝える方が、正直な回答が集まりやすい。
- 毎月の送信日を決める:Googleフォームには定期送信の機能がない。毎月第1営業日に、メールやチャットでリンクを送る予定をカレンダーに入れる。
- 回答をスプレッドシートにつなぐ:フォームの「回答」からスプレッドシートを作ると、毎月の回答が自動で1行ずつたまる。
- 結果を見る時間を決める:締め切りの翌営業日に15分。下の基準に当てはまる人だけを拾う。
結果は「2点下がった人」から見ます
あなたが毎月見るべきなのは、平均点の上下より一人ひとりの変化です。その方が、手を打つべき人を早く見つけられます。次のどれかに当てはまる人には、1週間以内に面談を入れます。
- 前月より2点以上下がった設問がある
- 「体調」が2以下
- 同じ設問で、3か月続けて下がっている
- 自由記述に、具体的な困りごとが書かれている
面談では、サーベイの点数を本人に突きつけないでください。「最近どう?」ではなく、「この1か月で、いちばん時間を取られている仕事は何ですか」のように、具体的な事実から聞きます。
あわせて読みたいサーベイで気になった社員と話すときに使える、1on1の質問例40問
福岡で従業員30〜150名の会社の組織づくりに関わっていると、退職の申し出の2〜3か月前から、仕事量とやりがいの点数に変化が出ていたケースによく出会います。毎月同じ質問を聞き続ける意味は、ここにあります。
よく起きる失敗:回答しても何も変わらず、3か月で回答率が半分になる
よく起きるのは、サーベイを始めたものの、結果を社員に返さないケースです。最初の月は90%近く集まった回答が、3か月後には40%台まで落ちます。社員から見ると、答えても何も変わらない調査に時間を使う理由がありません。
毎月、全体の結果と「今月はこれをやります」という対応を1つ、全員に返してください。対応が小さくても、返し続けることで回答率は戻ります。
あわせて読みたいサーベイの結果を職場の手当てにつなげる、組織づくりの考え方
パルスサーベイを始める前のチェックリスト
- 固定の5問を決め、言い回しを変えないと決めた
- テーマ別の設問を、半年分の順番で並べた
- 記名か匿名か、結果を見る人が誰かを社員に伝えた
- 毎月の送信日と締め切りを、カレンダーに入れた
- 「2点下がった人」などの、面談を入れる基準を決めた
- 結果と対応を全員に返す日を決めた
- ストレスチェックとは別のものだと、社員に説明した
あわせて読みたいサーベイで見えた「やりがい」の低下を、エンゲージメントの観点から立て直す方法
ここから先は、会社の人数と職場の形で設計が変わります
この記事の20問は、オフィスと現場が近い、従業員30〜150名の会社を前提にしています。シフト勤務が多い職場、拠点が分かれている会社、すでに評価面談や1on1を回している会社では、聞く頻度と設問の選び方が変わります。サーベイの結果を評価や配置にどこまで使うかも、社員への伝え方を含めて決める必要があります。あなたの会社でどう組み立てるかは、今の面談の仕組みと合わせて一緒に考えられます。
人事評価・組織管理のことなら、まずご相談ください
パルスサーベイの設問設計から、結果を活かすアクションフローの構築、産業医連携の仕組みづくりまで、中小企業向けに実践的な支援を行っています。
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著者プロフィール
野村 幸太(のむら こうた)/株式会社クリアマネジメント 代表
株式会社あしたのチームで福岡支社の立ち上げに参加し、広島・福岡の支社長、西日本エリアマネージャーを歴任。8年間で200社を超える人事評価制度の構築・運用を支援しました。2022年に福岡でクリアマネジメントを設立し、従業員30〜150名の中小企業を中心に、人事評価制度・組織づくり・採用・AI活用を支援しています。
