飲食店の人事評価シートは、ホール・キッチン・店長の3つに分け、1職種8項目前後を「まだできない/一人でできる/人に教えられる」の3段階で評価すれば回ります。この記事では、そのまま使える項目と評価基準の例を、職種ごとに表で載せています。
対象は、スタッフ10〜50名ほどの飲食店を経営しているあなたと、評価を付ける店長です。チェーン本部の大がかりな制度ではなく、店長1人が半期ごとに付けきれる大きさのシートを前提にしています。
飲食店の人事評価シートは「3職種×8項目×3段階」で足ります
項目を増やすほど、正確な評価になるわけではありません。店長が1人でスタッフ20名を見ているお店で、1人30項目のシートを使うと、半期ごとに600マスを埋めることになります。続かない評価シートの多くは、この量で止まります。
| 職種 | 項目数 | 評価の中心 |
|---|---|---|
| ホールスタッフ | 8項目 | 接客と提供の正確さ、チームでの動き |
| キッチンスタッフ | 8項目 | 衛生、調理の再現性、原価への意識 |
| 店長・時間帯責任者 | 6項目 | 売上と人件費、スタッフの育成と定着 |
評価は3段階にします。5段階にすると「3」に集中しやすく、違いが出ません。「人に教えられる」を最上位に置くと、新人を育てる人が自然と評価される形になります。
ホールスタッフの評価項目と評価基準の例(8項目)
| 項目 | 1:まだできない | 2:一人でできる | 3:人に教えられる |
|---|---|---|---|
| 身だしなみ・衛生 | 指摘されて直すことがある | 店のルールどおり毎回できている | 新人の身だしなみを確認し、声をかけられる |
| あいさつ・お出迎え | 声が小さい、気づくのが遅い | 来店から3秒以内にあいさつできる | 混雑時もお客様を待たせない動きを周りに指示できる |
| 案内・オーダー | 聞き間違いや入力ミスがある | 復唱して正確に受けられる | おすすめを提案して、客単価を上げられる |
| 提供・バッシング(下げもの) | 提供の順番や時間がずれる | 料理の提供と片付けを時間内に回せる | ピーク時に全体を見て、手が空いた人に指示できる |
| クレーム・トラブル対応 | すぐに責任者を呼べない | 最初のお詫びと責任者への報告ができる | 責任者の代わりに一次対応を任せられる |
| レジ・締め作業 | 金額の誤差が出ることがある | 手順どおり誤差なく締められる | 締めの手順を新人に教えられる |
| チームとの連携 | 自分の持ち場だけを見ている | キッチンと声をかけ合って動ける | 忙しい持ち場に自分から入れる |
| 新人への指導 | (対象外) | 聞かれたことに答えられる | 教える順番を決めて、1人立ちまで面倒を見られる |
キッチンスタッフの評価項目と評価基準の例(8項目)
| 項目 | 1:まだできない | 2:一人でできる | 3:人に教えられる |
|---|---|---|---|
| 衛生・温度管理 | 記録の付け忘れがある | 手洗い・温度記録をルールどおりにできる | 衛生チェックを他のスタッフにも促せる |
| 仕込み | 量や時間の見込みがずれる | 予約と曜日から必要な量を仕込める | 仕込みの段取り表を作れる |
| 調理の再現性 | 人や日によって味や盛り付けがぶれる | レシピどおりに毎回同じものを出せる | レシピの改善を提案できる |
| 提供時間 | オーダーが重なると遅れる | 決められた時間内に出せる | ピーク時に調理の順番を組み替えられる |
| 原価への意識(ロス・廃棄) | 廃棄が多いことに気づかない | 廃棄量を記録し、減らす工夫をしている | 食材の発注量の見直しを提案できる |
| 清掃・片付け | やり残しがある | 閉店後の清掃を手順どおりできる | 清掃の分担を決めて回せる |
| ホールとの連携 | 声かけがなく、提供が止まる | 出せる料理と遅れる料理を伝えられる | ホールの状況を見て調理の優先順位を変えられる |
| 新人への指導 | (対象外) | 包丁や機器の扱いを教えられる | 1つのポジションを任せられるまで育てられる |
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店長・時間帯責任者の評価項目の例(6項目)
店長は、行動よりも数字と人の項目の比重を大きくします。数字の目標は、業態や立地で大きく変わるため、オーナーと店長で期初に決めます。
| 項目 | 見るポイント | 目標の決め方の例 |
|---|---|---|
| 売上・客数 | 月ごとの売上と客数の目標に対する達成度 | 前年同月や直近3か月の平均をもとに決める |
| 人件費のコントロール | 売上に対する人件費の割合、シフトの組み方 | 繁閑に合わせたシフトで、目標の割合に収める |
| 食材原価のコントロール | 売上に対する食材原価の割合、ロスの量 | 業態ごとの目安と、前期の実績から決める |
| スタッフの育成 | 1人立ちしたスタッフの数、育成の計画 | 半期で何人をどのポジションまで育てるか決める |
| スタッフの定着 | 半期の退職者数、面談の実施 | 退職の理由を記録し、月1回の面談を続ける |
| 衛生・安全の管理 | 衛生点検の結果、事故やクレームの件数 | 点検で指摘ゼロを目指す |
食材原価と人件費の合計が売上に占める割合(FL比率)は、飲食店の利益を左右する数字です。店長の評価に入れると、売上だけを追う動きを防げます。
パート・アルバイトにも使うときの3つの調整
- 評価の回数を合わせる:社員と同じ半期ごとでよい。勤務日数が少ない人は、半期で一度もできなかった項目を「対象外」にする。
- 評価を時給につなげる:例えば、8項目の合計点で時給の段階を3つに分け、段階ごとに30〜50円の差をつける。差の大きさは、地域の最低賃金と人件費の予算から決める。
- 「人に教えられる」を重く見る:長く働くアルバイトが新人を育てる役割を担っているお店は多い。この項目を評価すると、定着と育成が同時に進む。
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飲食店の評価シートを作る5ステップ
- 職種を3つに分ける:ホール、キッチン、店長・時間帯責任者。兼務が多いお店は、主な持ち場で分ける。
- 項目を8つまでに絞る:上の表から、お店に合う項目を選ぶ。新しく足すなら、同じ数だけ削る。
- 3段階の基準を、お店の言葉で書き直す:「3秒以内」「レシピどおり」のように、店長とスタッフで同じ意味に取れる表現にする。
- 試しに3名を評価してみる:店長と副店長が別々に付け、点数がずれた項目の書き方を直す。
- 半期に1回、面談で結果を伝える:点数より、次の半期で「2」から「3」に上げたい項目を1つ決めることに時間を使う。
福岡で飲食・小売・福祉など、現場のある会社の評価制度づくりに関わっていると、つまずく場所はステップ3に集中します。基準の言葉が抽象的なままだと、店長ごとに付け方がばらつきます。
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よく起きる失敗:本部のシートをそのまま店舗に使う
よく起きるのは、大手チェーンや他社の評価シートを、項目もそのままに使うケースです。30項目・5段階のシートを、スタッフ15名のお店で使うと、店長は1人あたり30分、合計で7時間以上を評価に使うことになります。結局、前回と同じ点数を書き写すようになり、スタッフは「見られていない」と感じます。
あなたのお店の評価シートも、店長が無理なく付けきれる量であることが、内容の細かさより先に必要です。
評価シートができたか確かめるチェックリスト
- ホール・キッチン・店長で、シートが分かれている
- 1職種あたりの項目が8つ以内に収まっている
- 評価は3段階で、「人に教えられる」が最上位になっている
- 基準の言葉を、店長と副店長が同じ意味に取れる
- 店長1人で、半期の評価を2時間以内に付けきれる
- 評価の結果が、時給や昇給のどこに反映されるか決まっている
- 評価を伝える面談の日程が、半期ごとに決まっている
ここから先は、お店の業態と人数で答えが分かれます
この記事の項目は、ホールとキッチンがあるお店の標準形です。カウンターだけのお店、テイクアウト中心のお店、複数店舗を持つ会社では、職種の分け方と店長の評価項目が変わります。時給への反映の仕方も、地域の最低賃金や人件費の予算によって決め方が変わります。あなたのお店の場合にどう組み立てるかは、今のシフト表と給与の決め方を見ながら一緒に整理できます。
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