等級制度 役割定義 例文|5等級×4観点の書き方【中小企業】

等級制度の役割定義の例文を、G1〜G5の5等級と4つの観点で整理した記事のアイキャッチ画像 人事評価

従業員30〜150名の会社なら、等級は5段階に分け、各等級の役割定義を「職務の範囲・判断の範囲・人への関与・成果責任」の4観点で書けば、等級制度の土台ができます。この記事では、G1〜G5の役割定義の例文を4観点そろえて載せています。等級の段数まで決めて、文章で手が止まっているあなたに向けた内容です。

等級制度の役割定義は、5等級×4観点の20マスで書き切れます

役割定義とは、「この等級の社員は、何を任され、どこまで自分で決め、誰の成果まで背負うのか」を文章にしたものです。等級制度の本体は、等級の名前や段数ではなく、この文章です。

完成イメージは次の表です。1マスは1文で、合計20文です。

等級職務の範囲判断の範囲人への関与成果責任
G1 メンバー決められた手順の業務手順の範囲内。例外は上司に確認指導は受ける側自分の担当業務の期日と品質
G2 中堅担当業務を一式進め方と優先順位を自分で決める新人のOJT(仕事を通じた指導)担当業務の成果と改善
G3 リーダー3〜8名のチームの業務チーム内の業務配分と納期調整メンバーの育成と1on1チームの目標達成
G4 マネージャー部門の業務設計と予算部門の方針と人員配置リーダーの育成部門KPIと運営体制
G5 経営幹部複数部門・事業領域事業単位の投資・組織変更の提案管理職の育成と評価事業の業績と組織能力

福岡を中心に従業員30〜150名規模の会社の等級制度づくりに関わっていると、手が止まる場所はたいてい同じです。等級の段数を決めるところまでは進みます。止まるのは、G3以上の役割定義を文章にする段階です。

役割定義を書く前に決めるのは、等級の種類と段数の2つだけ

等級の種類は、30〜150名なら役割等級を選びます

等級制度には3種類あります。違いは「何を基準に等級を決めるか」です。

種類等級の決め方中小企業での扱いやすさ
職能資格制度社員の能力(スキル・経験)で決める年功的になりやすく、一度上げた等級を下げにくい
職務等級制度担当する職務の難易度で決める全ポジション分の職務記述書が要り、手間が大きい
役割等級制度組織で担う役割の大きさで決める兼務が多い会社に合う。役割定義の精度が制度の質を決める

30〜150名の会社では、営業が採用を兼ねる、現場リーダーが月次の数字も見る、といった兼務が普通です。職務を細かく切る職務等級は、ポジションの数だけ文書が必要になります。人事の専任が1人、もしくは兼任の会社では維持できません。役割等級を選ぶ理由は、この1点です。

等級の段数は、30〜50名で4〜5段階、50〜150名で5〜6段階が目安です

段数は、多いほど正確に見えて、運用で崩れます。従業員45名で8等級を作ると、1等級あたり平均5〜6名です。隣り合う等級の違いを、上司が部下に説明できなくなります。

1つの等級に1〜2名しかいない等級が出たら、細かすぎるサインです。足りなくなってから分割する方が、多すぎる等級を統合するより簡単です。この記事の例文は、中間の5段階(G1〜G5)で書いています。

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等級制度の役割定義の書き方|4観点を1文ずつ書きます

役割定義は、次の4観点を1文ずつ書きます。観点をそろえると、等級どうしを横に並べて比べられます。

観点書くこと自分への問い
職務の範囲どの単位の仕事を担うかこの等級は、どこまでの仕事を任されますか
判断の範囲どこまで自分で決めてよいか上司に聞かずに決められるのはどこまでですか
人への関与誰をどう動かすか指導・育成・評価の対象は誰ですか
成果責任誰の成果まで背負うか結果が悪かったとき、誰の責任になりますか

4つの中で、等級を分ける力が強いのは「判断の範囲」と「成果責任」です。この2つが等級ごとに変わっていれば、役割定義は機能します。

判断の範囲は、金額や人数で書くと一気に使えるようになります。たとえば「月5万円までの備品購入は自分で決める」「20万円を超える支出は部門長の承認を取る」といった線引きです。金額や人数は、あなたの会社の規模に合わせて置き換えてください。

等級制度の役割定義 例文|G1〜G5を4観点で書き分けます

次の例文は、製造・卸・サービスなど業種を問わず使える汎用版です。そのまま貼り付けるのではなく、自社の仕事の言葉に直して使ってください。

G1(メンバー)の役割定義

観点定義文の例
職務の範囲手順書やマニュアルが定める業務を、担当範囲の中で遂行する
判断の範囲手順書の範囲内で判断する。手順にない事態は、上司に確認してから動く
人への関与後輩や新人への指導は担わない。先輩や上司の指示を受けて動く
成果責任自分の担当業務について、期日と品質基準を守ることに責任を持つ

G2(中堅)の役割定義

観点定義文の例
職務の範囲担当業務を一通り自分で完結させる。手順書にない例外にも対応する
判断の範囲業務の進め方と優先順位を自分で決める。月5万円までの備品・消耗品の購入を自分で決める
人への関与新人・後輩のOJTを担当し、業務のやり方を教える
成果責任担当業務の成果に責任を持ち、手順や進め方の改善提案を年2件以上出す

G3(リーダー)の役割定義

観点定義文の例
職務の範囲3〜8名のチームの業務を割り振り、進捗を管理する
判断の範囲チーム内の業務配分と納期の調整を決める。月20万円までの支出を自分で決める
人への関与メンバーの育成計画を立て、月1回の1on1(上司と部下の個別面談)を行う
成果責任チームの目標達成に責任を持ち、メンバーの評価の原案をつくる

G4(マネージャー)の役割定義

観点定義文の例
職務の範囲部門の業務設計・人員配置・予算執行を担う
判断の範囲部門の方針と資源配分を決める。月100万円までの支出を自分で決める。全社方針との整合は経営と協議する
人への関与リーダー層を育成し、次の管理職候補を輩出する
成果責任部門KPIの達成と、部門が持続的に回る体制に責任を持つ

G5(経営幹部)の役割定義

観点定義文の例
職務の範囲複数部門にまたがる事業領域の戦略を立て、実行を担う
判断の範囲事業単位の投資判断と組織変更を経営に提案し、承認後の実行を主導する
人への関与管理職を育成・評価し、組織全体の人材配置に責任を持つ
成果責任担当事業の業績と、中期的な組織能力の向上に責任を持つ

書き終えたら、隣り合う等級の文章を並べて読みます。違いが「主体的」「積極的」といった言葉ではなく、金額・人数・範囲の数字で出ていれば合格です。

役割定義が「人物像」になる失敗と、書き直し3例

支援の現場でよく見るのは、役割定義が期待する人物像の羅列になるケースです。「主体性を持って行動できる」「周囲を巻き込める」は、G1にもG5にも当てはまります。等級間の違いが書けていません。

よくある書き方機能しない理由書き直し
主体性を持って行動できる全等級に当てはまる手順にない事態は上司に確認せず、自分で対応方針を決める(G2)
周囲を巻き込める誰を、どこまでかが不明3〜8名のチームに業務を割り振り、月1回の1on1を行う(G3)
経営視点を持つ行動として観察できない月100万円までの支出と、部門の人員配置を自分で決める(G4)

よく起きる失敗がもう1つあります。上位等級の定義を、現在の社長の仕事ぶりから書き始めるケースです。G5の定義が「社長と同じ判断ができる」になり、社内の誰も昇格できません。従業員40名前後の会社で、5段階の制度を作ったのにG4とG5が空席のまま3年たつ、という状態がよく起きます。

上位の等級は、今いる人からではなく、3年後に会社が必要とする役割から書きます。

役割等級の等級制度を形にする5ステップ|役割定義は3番目に書きます

  1. 全社員の今の仕事を書き出す。役職名ではなく、実際にやっている仕事を書きます。従業員30〜50名で2〜3時間が目安です。
  2. 等級の段数を決める。30〜50名は4〜5段階、50〜150名は5〜6段階です。
  3. G3(リーダー)の役割定義から書く。中間の等級を先に固めると、上のG4・G5と下のG1・G2の差を決めやすくなります。
  4. 現社員を5〜10名当てはめる。G2とG3の境目にいる人を特に確認し、本人と上司が納得できるかで定義を直します。
  5. 昇格条件と給与の幅につなぐ。等級が決まっても、昇格の条件と給与が決まっていなければ運用に乗りません。

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等級制度 課題|導入後に起きやすい3つのつまずきと直し方

つまずき起きる状態直し方
上位の等級に人が滞留するたとえば従業員60名でG4が12名、G1が8名と上位に偏り、人件費が膨らむ昇格条件に「上位の役割に空きがあること」を入れ、等級ごとの役割の定員を決める
等級と現在の給与が合わないG2なのに給与がG3の水準の社員が出る現給与は据え置き、次回以降の昇給幅で2〜3年かけて調整する。差額は調整給として別枠で管理する
管理職が等級を説明できない「なぜ私はG2なのか」と聞かれて答えられない役割定義を1等級1枚にまとめ、管理職向けに30分の説明練習を1回行う

役割定義ができたか確かめるチェックリスト7項目

  • 4観点×5等級の20マスがすべて埋まっている
  • 隣り合う等級の文章を並べて、違いを1つ以上指摘できる
  • 「判断の範囲」に、金額か人数の線引きが入っている
  • 「主体的」「積極的」など、全等級に当てはまる言葉が残っていない
  • G5(最上位)の定義が、現社長の仕事ぶりの写しになっていない
  • 現社員5〜10名を当てはめて、本人と上司が納得した
  • 1つの等級に1〜2名しかいない等級がない

ここから先は、会社の人数と事業で答えが分かれます

例文のG1〜G5は汎用版です。ここから先は、あなたの会社の事業と人数で判断が分かれます。営業と製造で同じ5段階を使えるのか。パート・アルバイトをどの等級に置くのか。現在の給与と等級が合わない人を、どう扱うのか。この3点は、一般論では決められません。状況を聞きながら、一緒に整理していけます。

あわせて読みたい福岡で等級制度・人事評価制度づくりを相談する(進め方と費用の目安)

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よくある質問

等級制度の3種類はどう違いますか

職能資格制度は社員の能力に応じて等級を決める制度、職務等級制度は担当する職務の難易度で決める制度、役割等級制度は組織の中で担う役割の大きさで決める制度です。中小企業は1人が複数の役割を担うことが多いため、役割等級制度が実態に合いやすくなります。

等級は何段階に設定すればよいですか

従業員30〜50名なら4〜5段階、50〜150名なら5〜6段階が目安です。従業員45名で8段階にすると1等級あたり平均5〜6名になり、隣り合う等級の違いを説明できなくなります。1つの等級に1〜2名しかいない等級が出たら、細かすぎるサインです。足りなくなってから分割する方が、多すぎる等級を統合するより簡単です。

役割定義はどのように書けばよいですか

「職務の範囲」「判断の範囲」「人への関与」「成果責任」の4観点で書きます。とくに区別すべきなのは「どこまで自分で決めてよいか」と「誰の成果まで背負うか」の2点です。「主体性を持って行動できる」のような書き方は、どの等級にも当てはまってしまうため避けます。

等級と現在の給与が合わない場合はどうすればよいですか

現給与は据え置き、次回以降の昇給幅で調整する移行期間を2〜3年設けるのが現実的です。差額を調整給として別枠で管理し、昇格時に吸収していく方法もよく使われます。いきなり給与を下げようとすると制度導入そのものが反対されます。

等級制度はどれくらいの頻度で見直すべきですか

2〜3年ごとの見直しが目安です。ただし等級ごとの人数分布が偏ってきた場合や、事業内容・組織体制が変わって等級定義の役割イメージと実態が合わなくなった場合は、時期を待たずに見直すことをおすすめします。

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著者プロフィール

野村 幸太(のむら こうた)/株式会社クリアマネジメント 代表

福岡県を拠点に、中小企業向けの人事評価制度構築・組織設計・管理職育成を支援。支援実績は製造業・IT・小売・サービス業など多業種にわたる。「現場で使える人事制度」の設計・導入・定着支援を得意とし、「制度を作って終わり」ではなく「経営成果につながる人事」をモットーに活動している。

福岡の人事評価制度づくり|従業員30〜150名の会社向け 評価・等級・給与のこと、一緒に整理しませんか。 8年で200社以上の人事制度づくりに関わってきた代表の野村が、今の評価シートや給与の状況をお聞きします。看護師・介護職員・施工管理・美容師など、16職種の人事評価シートのサンプルも無料でお送りしています。お問い合わせには1営業日以内にご返信します。 無料相談を申し込む職種別 評価シートのサンプル(無料) 支援の内容と費用の目安は、人事評価制度の構築・運用支援のページにまとめています。
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