目標設定は「何を・どの水準まで・いつまでに」の3点を、数値と期限で書きます。人事評価で使うなら、結果目標とプロセス目標を1本ずつ併記すると、期末に評価の根拠がそろいます。
この記事には、目標設定シートにそのまま書き写せる例文を35本載せています。内訳は、職種別15本、管理職・役職別10本、業種別10本です。書き方の理屈より先に見本がほしいあなたは、下の表から自分に近い見出しへ進んでください。
| あなたの状況 | 読む見出し |
|---|---|
| 自分の職種の例文がほしい | 4. 職種別(営業・事務・技術・接客など15本) |
| 管理職・リーダーとして目標を書く | 5. 管理職・役職別(部長・課長・主任・新任管理職の10本) |
| 業種に合う例文がほしい | 6. 業種別(製造・小売・飲食・介護・建設の10本) |
| 目標がそもそも思いつかない | 3. 目標が思いつかないときの3つの発想法 |
| 目標設定シートの欄の埋め方がわからない | 8. 目標管理シートの記入例 |
- 1. なぜ「目標設定の書き方」が重要なのか?
- 2. 伝わる目標設定の書き方——SMARTの法則と5つのステップ
- 3. 目標が思いつかないときの3つの発想法
- 4. 職種別・目標設定の例文15パターン
- 5. 管理職・役職別の目標設定 例文10パターン
- 6. 業種別・目標設定の例文10パターン
- 7. 人事考課の目標 例文と、評価者が見ているポイント
- 8. 目標管理シート(目標設定シート)の記入例と欄ごとの埋め方
- 9. うまくいく企業 vs うまくいかない企業
- 10. よくある誤解・注意点
- 目標設定を書き直すなら、まず1本をSMARTで直してください
- よくある質問
- 人事評価・目標設定のことなら、まずは無料相談へ
- 著者プロフィール
1. なぜ「目標設定の書き方」が重要なのか?
人事評価制度が機能しない最大の原因は「目標の曖昧さ」にある
多くの中小企業で人事評価制度を導入しているにもかかわらず、「評価に対して社員が納得していない」「評価結果と給与が連動していない感じがする」という声が後を絶ちません。
その根本原因を辿ると、目標設定の段階での失敗に行き着くケースが非常に多いです。
具体的には、以下のような状態が現場でよく見られます:
- 「お客様に喜ばれる仕事をする」→ 定性的すぎて評価できない
- 「売上を上げる」→ どの程度、いつまでに、が不明
- 「チームワークを高める」→ 何をもって達成とするのか不明確
これでは、評価者も被評価者も「なんとなく」で終わってしまいます。
目標設定が機能しないと組織に何が起きるか?
- 評価の属人化:上司の”好み”で評価が決まる
- モチベーション低下:頑張っても正当に評価されないと感じる
- 優秀な社員の離職:「評価されない会社」として認識される
- 人事評価制度そのものへの不信感:形骸化が加速する
逆に言えば、目標設定の質を上げるだけで、既存の人事評価制度が劇的に機能し始めることも珍しくありません。
2. 伝わる目標設定の書き方——SMARTの法則と5つのステップ
SMARTの法則とは
目標設定の世界で最も普及しているフレームワークが「SMARTの法則」です。
| 頭文字 | 意味 | 説明 |
|---|---|---|
| S | Specific(具体的) | 何をするのか明確か |
| M | Measurable(測定可能) | 数値や基準で測れるか |
| A | Achievable(達成可能) | 現実的に達成できるか |
| R | Relevant(関連性) | 会社・部門の目標と連動しているか |
| T | Time-bound(期限あり) | いつまでにを明示しているか |
この5要素をすべて満たした目標が「評価できる目標」です。
目標設定 5つのステップ
ステップ1:会社・部門の方針を確認する 目標は個人の願望ではなく、組織の方向性に紐づけるもの。まず上位目標を把握することが大前提です。
ステップ2:自分の役割と期待値を確認する 職種・等級・役職によって、求められるアウトプットは異なります。「自分に何が期待されているか」を明文化します。
ステップ3:SMARTに落とし込む 曖昧な言葉を、数値・期限・行動に変換します。「顧客満足度を上げる」→「顧客満足度調査のスコアを現状の72点から80点以上に引き上げる(期限:第2四半期末)」
ステップ4:プロセス目標と結果目標に分ける 結果だけを目標にすると、外部要因で達成できなかった際に評価が歪みます。「新規顧客10件獲得(結果)」に加えて「月4回の新規商談アポを設定する(プロセス)」を併記するのが理想です。
ステップ5:上司と目標を合意する 一方的に提出するのではなく、上司との対話を通じて目標の方向性・難易度を合意します。この対話こそが1on1の重要な機能の一つです。
3. 目標が思いつかないときの3つの発想法
目標シートを前にして手が止まるのは、意欲がないからではありません。多くの場合、「今の仕事をどう切り取って目標にすればいいか」の切り口を知らないだけです。
次の3つの問いを順に考えると、ほとんどの職種で目標の種が見つかります。
発想法1:去年と同じ量の仕事を、何で楽にできるか
売上や件数を伸ばしにくい職種でも、「同じアウトプットを、より短い時間で」は必ず目標にできます。
- 月次報告書の作成時間を、8時間から4時間に短縮する
- 問い合わせ対応のうち2割をFAQ化し、自分への取次件数を月平均60件から45件に減らす
発想法2:自分が止まると、誰が困るか
属人化している業務は、そのまま目標の種です。自分が抱えている仕事を人に渡せる状態にすることは、組織にとって明確な価値があります。
- 担当している——業務の手順書を作成し、他メンバー2名が単独で実施できる状態にする(期限:第2四半期末)
発想法3:上司が今一番困っていることは何か
目標は本来、上位目標から分解されるものです。思いつかないときは、上司に直接聞くのが最短距離です。
聞き方の例:「今期、部門として一番危ないと思っているのはどこですか。そこに自分が関われる部分はありますか」
この問いから出てきた目標は、上司の問題意識と直結するため、評価されやすいという副次効果もあります。
それでも思いつかないとき
上記3つを考えても出てこない場合、問題は本人ではなく、役割が定義されていないことにあるケースがほとんどです。
自分に何が期待されているのかが言語化されていない状態で目標を書かせても、出てくるのは当たり障りのない文章だけです。この状態が部門内で複数起きているなら、目標設定の問題ではなく、等級制度・職務定義側の課題として扱う必要があります。
4. 職種別・目標設定の例文15パターン
【営業職】
例文1:新規開拓営業
今期中に新規顧客を15社獲得する。そのために月次で新規アポ獲得件数8件・提案件数4件・受注件数1.5件のペースを維持し、受注率の改善(現状20%→25%)にも取り組む。
例文2:既存顧客深耕
担当顧客50社の継続率を前期比95%以上に維持しつつ、上位10社へのクロスセル提案を実施し、既存顧客からの売上を前期比110%とする(期限:期末)。
例文3:営業管理職
チーム全体の月次売上目標(2,500万円)の達成率を前期比105%とする。そのために週次の個別進捗確認と月1回の営業スキル勉強会を継続し、メンバーの底上げを図る。
【管理職・マネジメント職】
例文4:部門マネージャー
部門のメンバー離職率をゼロにする。そのために、全メンバーとの月1回の1on1を実施し、キャリア面談を半期に1回以上実施する。eNPS(従業員推奨度)を現状の+15から+25以上に改善する(期限:期末)。
例文5:プロジェクトリーダー
担当プロジェクト(〇〇システム導入)をQDC(品質・納期・コスト)すべてにおいて計画通りに完遂する。特に納期遵守率100%・予算オーバーゼロを達成する。
【事務・管理部門】
例文6:総務・人事担当
上期中に採用計画(営業職3名・エンジニア2名)を完遂する。そのために求人媒体の最適化・面接プロセスの改善を行い、内定承諾率を現状の55%から70%以上に引き上げる。
例文7:経理担当
月次決算の締め作業を現状の翌月10営業日から7営業日以内に短縮する。そのために業務フローの見直しと、入力作業の自動化ツール導入を第1四半期中に完了させる。
例文8:バックオフィス全般
社内問い合わせ対応の平均返答時間を現状の2日→1日以内に改善する。そのためにFAQの整備と問い合わせ管理ツールの運用ルールを今期中に確立する。
【エンジニア・技術職】
例文9:ソフトウェアエンジニア
担当プロダクトのバグ発生率を現状比30%削減する。そのためにコードレビューの実施率100%維持・単体テストカバレッジ80%以上を今期中に達成する。
例文10:インフラエンジニア
システム稼働率99.9%以上を維持しながら、インシデント対応時間(平均)を現状の4時間から2時間以内に短縮する。そのために対応手順書の整備と四半期ごとの訓練を実施する。
【マーケティング・企画職】
例文11:Webマーケター
自社オウンドメディアの月間オーガニックセッション数を現状の8,000から15,000に引き上げる(期限:期末)。そのために月4本の記事公開・SEOキーワード設計の見直しを実施する。
例文12:企画担当
新サービス企画を上期中に3件立案し、うち1件を経営会議で承認を得る。そのために競合調査・顧客ヒアリングを月次で実施し、データに基づく提案資料を作成する。
【接客・サービス職】
例文13:店舗スタッフ
担当シフト帯の顧客満足度アンケートスコアを現状の3.8から4.2(5点満点)に向上させる。そのために接客ロールプレイを月1回実施し、クレーム発生時の対応改善策を毎月1件以上提案する。
例文14:店長・管理職
今期の店舗売上目標(月次1,200万円)を達成しながら、アルバイト定着率を前期比10%改善する。そのために入店後90日以内の個別面談を全員に実施する。
【専門職・士業・コンサルタント】
例文15:社内コンサルタント・人事担当
今期中に人事評価制度の見直しを完了し、全社員への説明会を実施する。そのために評価基準の透明化・等級定義の整備を第2四半期末までに完成させ、管理職向け評価者研修を半期に1回実施する体制を構築する。
5. 管理職・役職別の目標設定 例文10パターン
同じ管理職でも、部長・課長・チームリーダーでは求められる成果の質が異なります。ここでは役職ごとに、実際に評価しやすい目標の書き方を示します。
【部長・部門長クラス】
例文16:部門業績
部門の年間営業利益1億2,000万円を達成する(前期実績:9,800万円)。うち新規事業からの利益を全体の15%以上とし、既存事業依存からの脱却を進める。
例文17:組織体制
部門内の課長層3名全員が、自課の目標設定・中間面談・評価面談を自立して運用できる状態にする。判定基準は「上半期の面談実施率2カ月以内100%」かつ「部長の同席なしで実施」とする。
例文18:後継育成
自分の業務のうち、予算編成・他部門調整・主要顧客対応の3領域について、次期部長候補1名に引き継ぎ可能な状態をつくる(期限:期末)。四半期ごとに同席→主導→単独の段階を引き上げる。
【課長・マネージャークラス】
例文19:チーム業績
課の年間売上目標3億6,000万円を達成する。うちメンバー上位2名への売上依存率を現状の65%から50%以下に下げ、中位層3名の平均売上を前期比120%に引き上げる。
例文20:離職防止・定着
課内の自己都合離職をゼロにする。そのために全メンバーと月1回30分の1on1を実施し、入社3年未満メンバーについては四半期ごとにキャリア希望の確認を行う。
例文21:業務改善
課全体の月平均残業時間を、現状の28時間から18時間以下に削減する。そのために定例会議を3件から1件に統合し、定型報告業務を第2四半期中に自動化する。
【チームリーダー・主任クラス】
例文22:プレイングマネージャー
自身の担当業務(月次目標達成)を維持しながら、メンバー4名の週次進捗確認を仕組み化する。「自分でやった方が早い」で引き取っている業務を棚卸しし、上半期中に3件以上をメンバーに移管する。
例文23:新人育成
新卒メンバー2名を、入社6カ月時点で「単独で顧客訪問ができる」水準に到達させる。そのために週次1回の同行訪問と、月次の振り返りシート確認を継続する。
【新任管理職(昇格1年目)】
例文24:役割転換
プレイヤー業務の比率を、現状の8割から期末には5割以下に下げる。削減した時間をメンバーの進捗管理と育成に充て、チーム全体の目標達成率を前期比で維持する。
例文25:マネジメントスキル習得
管理職研修を受講し、学んだ面談手法を自チームで実践する。具体には、期初目標設定面談・中間面談・評価面談を全メンバーに実施し、各回の内容を記録として残す。
上司からの引継ぎを受けたばかりの管理職は、成果目標だけを掘るとプレイヤーに戻ってしまいがちです。例文24のように、役割を変えること自体を目標に置くのが有効です。
6. 業種別・目標設定の例文10パターン
業種によって、目標に使える指標は大きく変わります。自社の業種に近いものを土台に、数値だけ入れ替えてお使いください。
【製造業】
例文26:製造現場リーダー
担当ラインの不良率を、現状の1.8%から1.0%以下に下げる。そのために発生工程の分析を月次で実施し、上位3要因に対する対策を四半期ごとに1件以上実行する。
例文27:生産管理
納期遵守率を100%に維持しながら、仕掛品在庫を前期平均比15%削減する。そのために週次の生産計画見直し会議を運用し、需要予測の精度を月次で検証する。
例文28:品質保証
顧客クレーム件数を年間24件以下に抑える(前期実績:41件)。発生時は48時間以内に原因報告書を提出する体制を第1四半期中に確立する。
【小売・店舗】
例文29:店長
店舗の年間売上1億5,000万円を達成しながら、人件費率を現状の24%から22%以下に改善する。そのために時間帯別の客数データをもとにシフト編成を月次で見直す。
例文30:売場担当
担当売場の客単価を、現状の2,400円から2,700円に引き上げる。そのために関連商品の併せ提案を月次で検証し、売場レイアウトを四半期ごとに変更する。
【サービス・飲食】
例文31:店舗スタッフ
担当シフト帯のリピート率を現状の32%から40%に引き上げる。そのために常連客の嗜好を共有シートに記録し、スタッフ全員が参照できる状態をつくる。
例文32:カスタマーサポート
問い合わせの初回解決率を、現状の61%から75%に引き上げる。そのために頻出質問上位20件の回答テンプレを第2四半期末までに整備する。
【介護・医療】
例文33:介護スタッフ
担当利用者のケアプラン見直しを、全員について期限内(月末まで)に完了する状態を維持する。あわせてヒヤリハット報告を月次2件以上提出し、チーム内で共有する。
例文34:介護リーダー
ユニットの年間離職者を2名以下に抑える(前期実績:5名)。そのために入職後90日以内の個別面談を全員に実施し、夜勤シフトの偏りを月次で検証する。
【建設・運送】
例文35:現場監督
担当現場の重大災害をゼロに維持し、ヒヤリハット報告を月次5件以上収集する。あわせて工期遅延を荒天日を除きゼロとし、週次の工程進捗管理を徹底する。
業種を問わず、ポイントは「現状値」を必ず入れることです。「不良率を1.0%以下に」だけでは難易度が伝わりませんが、「1.8%から1.0%に」と書くだけで、評価者はその目標の重さを正しく把握できます。
7. 人事考課の目標 例文と、評価者が見ているポイント
「人事評価」と「人事考課」はほぼ同じ意味で使われますが、人事考課と言うときは「昇給・賞与・昇格の判断材料になる」という処遇側面が強く意識されます。つまり、人事考課のための目標設定には「後から見返したときに、達成したかどうかを第三者が判定できる」ことが余計に求められます。
評価者側に立ってみると、目標シートを受け取ったときに見ているのは次の4点です。
1. 期末に「できた」「できなかった」を二択で判定できるか
「——の推進を図る」「——の強化に取り組む」といった表現は、期末に必ずもめます。本人は「取り組んだ」と言い、上司は「成果が見えない」と感じる。このずれが評価の不満の最大の発生源です。
2. その人の等級・役割に見合っているか
同じ「新規顧客5社獲得」でも、入社2年目なら十分なストレッチ目標、ベテランなら物足りないと判断されます。等級定義がある会社では、「自分の等級に期待されている水準」を確認してから目標を書くのが鉄則です。
3. 自分の裁量で動かせる範囲になっているか
「会社全体の売上を前年比110%にする」は、一担当者の目標としては大きすぎます。未達になったときに「本人の責任なのか」を判定できない目標は、評価の材料になりません。
4. 途中経過を語れる目標になっているか
結果目標だけだと、市況悪化や人員欠損など本人にそうがない要因で未達になったとき、評価者は情報を持たないまま点数をつけることになります。プロセス目標を併記しておくと、「やるべきことはやり切った上での未達」を評価に反映できます。
人事考課用の目標例文
営業職・中堅層
担当エリアの年間売上3,600万円を達成する(前期実績3,200万円、達成基準:100%でB評価、110%以上でA評価)。プロセスとして月次の新規商談件数6件以上を維持し、商談進捗を週次でSFAに記録する。
事務職・定量化が難しい業務
請求書発行業務のミス件数を年間12件以下に抑える(前期実績:28件)。そのためにチェックリストを第1四半期中に整備し、ダブルチェック体制を運用する。
管理職・部下育成
メンバー6名のうち2名を次期リーダー候補水準(等級G3)に引き上げる。判定基準は「G3行動評価項目7項目のうち5項目以上で『できている』判定」とし、四半期ごとに1on1で進捗を確認する。
この3本に共通するのは、目標の中に「判定基準」が埋め込まれていることです。人事考課を意識するなら、目標を書く段階で「どこまでできたら何評価なのか」まで合意しておくのが理想です。
8. 目標管理シート(目標設定シート)の記入例と欄ごとの埋め方
多くの企業で使われている目標管理シート(MBOシート)は、おおむね次の欄で成り立っています。欄の意味を誤解したまま埋めているケースが非常に多いため、ひとつずつ見ていきます。
| 欄 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|
| 目標項目 | 何に取り組むかの見出し(15字程度) | ここに長文を書いてしまう |
| 達成基準 | 数値と期限。何をもって達成とするか | 「頑張る」「改善する」で終わっている |
| ウエイト(重み) | 全体を100%とした配分 | 5つ以上の目標に均等配分している |
| 取組内容(プロセス) | 達成のための具体的な行動 | 目標項目の言い換えになっている |
| 中間振り返り | 期中の進捗と軌道修正 | 空欄のまま期末を迎える |
| 自己評価 | 事実と数値での振り返り | 感想文になっている |
目標は3つまで、ウエイトは偏らせる
目標管理シートで最もよく見る失敗が、目標を並べすぎることです。
目標5つに20%ずつ割り振ったシートは、一見公平に見えますが、実際には「どれも中途半端」になりがちです。目標は2〜3つに絞り、最重要のものに50〜60%のウエイトをかけるのが原則です。
| 配分例 | 目標1 | 目標2 | 目標3 |
|---|---|---|---|
| 推奨 | 50%(主業務の成果) | 30%(改善・効率化) | 20%(育成・自己成長) |
| 非推奨 | 20% | 20% | 20%+他2つ |
自己評価欄は「事実→数値→要因」の順で書く
自己評価欄は、評価者が点数をつける直前に読む欄です。ここが感想文だと、せっかくの成果が伝わりません。
悪い例:「今期は思うように進められない場面もありましたが、自分なりに精一杯取り組みました」
良い例:「新規受注は目標15社に対して13社(達成率86.7%)。下期に主力商品の仕様変更があり、提案資料の作り直しに約2週間を要したことが未達の主要要因。一方で商談件数は目標72件に対して81件と上回った」
達成していても、未達でも、書き方は同じです。事実と数値を先に置き、その後に要因を短く添える。この順番だけで、評価面談の質は大きく変わります。
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9. うまくいく企業 vs うまくいかない企業
目標設定の運用において、成果を出している企業とそうでない企業には、明確な思考・行動パターンの違いがあります。自社はどちらに近いか、照らし合わせてみてください。
【目標の質】
| うまくいく企業 | うまくいかない企業 |
|---|---|
| 目標は数値・期限・行動がセットになっている | 「頑張る」「向上させる」など曖昧な表現が多い |
| 上位目標(会社・部門方針)との連動が明確 | 個人の”やりたいこと”ベースで書かれている |
| プロセス目標と結果目標の両方を設定している | 結果だけを目標にし、途中経過が評価されない |
【目標設定のプロセス】
| うまくいく企業 | うまくいかない企業 |
|---|---|
| 上司と部下が対話しながら目標を合意する | 部下が一方的に提出し、上司が承認するだけ |
| 期中に進捗確認・目標修正の機会がある | 期初に設定したら期末まで放置される |
| 1on1や面談で目標を「生きたもの」にしている | 目標シートが”提出物”になっており形骸化している |
【評価との連動】
| うまくいく企業 | うまくいかない企業 |
|---|---|
| 目標の達成度が昇給・賞与に明確に反映される | 評価はするが処遇への反映ルールが不透明 |
| 社員が「目標を達成すれば報われる」と信じている | 「どうせ評価されない」という諦めが蔓延している |
| 評価結果をフィードバックし次期目標に活かす | 評価点数だけ伝えて終わる |
10. よくある誤解・注意点
誤解①「目標は高く設定するほど良い」
→ 誤り。達成可能性のない目標は社員のモチベーションを破壊します。
SMARTの「A(Achievable)」にある通り、ストレッチ目標であっても「努力すれば届く水準」に設定するのが原則です。全員が毎期未達になる目標は、評価制度への不信感を生みます。
誤解②「定量目標だけが評価できる目標だ」
→ 誤り。定性目標でも評価基準を明確にすれば評価可能です。
「リーダーシップを発揮する」という定性目標も、「週1回チームミーティングでファシリテーションを担当し、アクションアイテムを全員に共有する」という行動基準に落とし込めば評価できます。
誤解③「目標設定は人事部が管理するもの」
→ 誤り。目標設定の主体はあくまで本人と直属上司です。
人事部は制度・フォーマット・研修を整える役割。実際の目標設定と合意は、現場の上司と部下の間で行われるべきものです。人事が全ての目標をチェック・修正していると、現場の主体性が失われます。
誤解④「目標設定さえ決まれば、あとは期末に評価するだけ」
→ 誤り。目標は期中に”育てる”ものです。
外部環境の変化・組織方針の変更によって、期初の目標が適切でなくなることは多々あります。半期ごとの中間面談や、1on1での定期的な進捗確認によって目標を「生きた状態」に保つことが、評価の納得感につながります。
誤解⑤「職種が違うと目標のフォーマットも変えるべき」
→ 半分正しく、半分誤りです。
フォーマットは統一した方が運用しやすい一方、「何を目標にするか」の視点(売上・品質・プロセス改善・人材育成など)は職種によって異なります。基本フレーム(SMART)は統一しつつ、カテゴリや重み付けを職種・等級別にカスタマイズするのがベストプラクティスです。
目標設定を書き直すなら、まず1本をSMARTで直してください
この記事のポイントを整理します。
- 目標設定の質が、人事評価制度の機能不全を決定づける最大要因のひとつ
- 伝わる目標の書き方には「SMARTの法則」+「プロセス目標と結果目標の併記」が有効
- 職種・役割に応じた目標設定の例文を参考に、自社の実態に合わせてカスタマイズする
- うまくいく企業は、目標設定を「提出物」ではなく「対話のツール」として活用している
- 目標は期初に設定して終わりではなく、1on1・中間面談で継続的にメンテナンスすること
- よくある誤解(高すぎる目標・定量目標への偏重・人事への丸投げ)を回避することが重要
次のアクション:まず1つ、今の目標設定をSMARTで書き直してみてください。 それだけで、次の評価面談の質が大きく変わります。
よくある質問
目標設定の書き方がわからないときは何から始めればよいですか
まず上司に「今期、部門として一番の課題は何か」を確認し、そこに自分が関われる部分を探します。そのうえでSMARTの法則(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)に沿って、数値と期限を入れた文章に変換します。
目標はいくつ設定するのが適切ですか
2〜3つに絞るのが基本です。5つ以上に均等配分すると、どれも中途半端になりがちです。最重要の目標に全体の50〜60%のウエイトをかける配分をおすすめします。
定量化しにくい事務職の目標はどう書けばよいですか
「ミスの件数」「処理にかかる時間」「問い合わせの初回解決率」など、減らすべき数字に置き換えると定量化できます。たとえば「請求書発行業務のミス件数を年間12件以下に抑える(前期実績28件)」という書き方です。
人事考課で評価される目標の条件は何ですか
期末に達成の可否を第三者が判定できることです。「推進を図る」「強化に取り組む」といった表現は判定できないため、評価の材料になりません。目標の中に判定基準を埋め込んでおくのが理想です。
目標が思いつかないときはどうすればよいですか
「去年と同じ量の仕事を何で楽にできるか」「自分が止まると誰が困るか」「上司が今一番困っていることは何か」の3つを順に考えると、ほとんどの職種で目標の種が見つかります。
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著者プロフィール
野村 幸太(のむら こうた)/株式会社クリアマネジメント 代表
福岡県を拠点に、中小企業向けの人事評価制度構築・組織設計・管理職育成を支援。支援実績は製造業・IT・小売・サービス業など多業種にわたる。「制度を作るだけでなく、現場に根付かせる」ことをモットーに、評価制度の構築から管理職研修・1on1導入まで一気通貫で支援している。
